1つの小さな勝ちが「勝ち続ける環境」を作る
「マタイ効果」を知っていますか?
これは
「誰でも、持っている人はさらに与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる」
という新約聖書のマタイによる福音書の一部を引用した言葉です。
成功とは「累積するアドバンテージの結果」であると言われています。
マルコム・グラッドウェルの本の中にこんな話が載っています。
「カナダのプロホッケー選手の誕生日を調べてみると、面白いことがわかってきました。
それは1月、2月、3月生まれの選手がとてつもなく多いということです。」
単なる偶然?
ホッケーは冬のスポーツだから(雪の申し子)?
いやいや、違います。
これはカナダの年度初めが1月1日だからです。
私たちの子どもの頃もそうであったように、カナダにも「学年」という縛りがあります。
その学年という縛りは「1月1日生まれ〜12月31日生まれ」の子供たちを1つの集団にまとめています。
すると1月生まれと12月生まれだと、生まれた「時差」がほぼ1年あるのにも関わらず、同じ土俵の上で戦うことを強いられてしまいます。
幼少期であればあるほど発達段階には差がつきますから、当然体格や技術にも差が生まれてきます。
その中で1学年単位で選抜チームを構成しようとすると、どうしても彼らが「有利」になってしまうわけです。
初期段階ではほんの小さな差であったとしても、上手な子には選抜チームやトレーニング環境といった様々な「アドバンテージ」が与えられていきます。
上手な子はより上手になり、その環境に選ばれなかった子との差がどんどん開いていってしまうわけです。
これが「累積するアドバンテージ」であり、
「誰でも、持っている人はさらに与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる」
という「マタイ効果」だと言われています。*1
これは何もスポーツだけに限った話ではありません。
大切なのは「”早い段階で”何かの一芸に秀でること」そして「その一芸を徹底的に磨くこと」です。
誰よりも優れた一芸を持っていたら、その技術が必要になった時にいの一番に相談される環境が出来上がります。
初期段階の小さな「勝ち」が、やがては「勝ち続ける」環境をもたらすわけです。
小さなジャンル・ニッチな世界を追求できる人が、次の成功者になるべき人物だと思います。
- 作者: マルコム・グラッドウェル,勝間和代
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*1:日本の場合は「4月2日」が年度初めであるため、高校・大学のトップ選手はやはり4月、5月、6月生まれが多いです(今話題の清宮幸太朗選手も「5月25日」生まれ)。
もちろん、生まれの早さが全てではありませんが、体格の優位さがプレーに直結するスポーツなどにはあてはまる法則の1つです。